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問題はナショナル・プロジェクト会社といわれる五社の損失である。
実はこの五社の最終損失は報告ベースで、最大四千五百四十億円から最小二千百四十億円に達する見通し。
これはナショナル・プロジェクトといわれる国家的な政策、石油開発会社の失敗を、民間主導の開発会社が利益を上げて支えるという構造になっていることを意味する。
「公」の効率がいかに悪いか、を示した形である。
このことは究極の疑問として、「果たして石油公団は必要なのか」という疑問を呼ぴおこす。
目下、「市場の原理」が践雇する。
石油開発は一種の博打だ。
探査技術が進んだといっても百試掘して三つが成功する程度。
海底油田などでは一本の試掘で二十億円、三十億円というお金が海の藻屑となる可能性が高い。
国際石油資本が周辺産業を取り込んだ複合企業的な色彩を強め、さらに生産から消費までの一貫体制を取り、利益を巧みに配分しているのに対し、日本の開発会社は、アラビア石油などの一部を除き全くの零細企業といってもいい弱小資本。
効率性・経済性だけを追求して、石油公団をなくしてしまえば、事実上、日本から石油開発産業は消えざるをえないだろう。
果たしてそれでいいのかどうか。
日本の囲内石炭産業がほぼ消えてしまったのと同じように日本は石油開発から撤退してしまっていいのか。
ここからが問題の本質にかかわる。
堀内元通産大臣も「石油開発をやめよ」、「公団をつぶせ」とまではいっていない。
また、こうした声は意外に少ないのも事実だ。
活動の透明性と経済的な効率を求めたといっていいだろう。
そのためのポイントのひとつは人事といわれる。
石油公団総裁は歴代ほぼ通産省OBが占めている。
問題浮上後の総裁更迭でもあっさりOB路線が踏襲されてしまっている。
それに石油会社の社長に通産OBが目立つ。
ちなみに石油開発会社でつくる業界団体の石油鉱業連盟の役員は三分の一以上が通産OBとなっている。
通産省が石油公団を支配、石油公団が石油開発会社を支配するという構造では、今、求められる効率の発想は出てこない。
税金は石油開発のためではなく、天下りポストの確保に使われているという批判もあながち否定はできない。
それでも石油を市場原理だけに晒すことには問題が多い。
自主開発原油「日の丸原油」という発想は確かに時代遅れかもしれない。
しかし、やはり、石油は単なる市況商品ではない。
政治商品である一面を持ち続けるに違いないからである。
市場原理を代表するかにみえるメジャーさえも「いざとなれば石油問題は国益が最優先」といわれている。
一方で確かに自主開発原油のために税金を採算無視で垂れ流し的に使っていいという時代も終わったこともはっきりした。
当面、重点は報告にある石油公団の透明性を高めることに置くとしても、石油公団を「金融機関」から脱皮させ、石油情報機能集団に衣替えせよ、というような建設的な声も出てきている。
石油公団問題はまだスタートを切ったばかりだ。
二ト一川町紀の石油開発のあり方を視野に入れて、この問題の議論を深化させていく‘べきではないか。
掘削技術も発展水平掘り石油開発への関心は石油価格の低下と比例する形で薄れているのが現状だが、そうしたなかで地道な技術革新は着々と進んでいる。
そのひとつは水平掘りといわれる技術だ。
地面を掘る。
当然、垂直がイメージされるが、最近は水平、大胆にいってしまうと石油開発では棋に掘るケースが増えているのだ。
その水平距離も十キロメートルにも及ぶケースが出てきている。
石油を掘り当て、さらに採回附する。
どちらもパイプを地中にねじ込む作業。
井戸を掘るのと同じ様に基本は垂直だ。
しかし、これでは油田の広がりに対応するのは難しい。
ひとつの油田といっても実際には地中で分散していることが多く、一か所から油回全部を吸い上げることはできないこうした場合、厳密には真横ではないにしてもほぼ横、水平にパイプを延ばすことができれば、一本のパイプがあちこちにちらばっている油田から原油を吸いパイプの効率が急速に増加する。
上げていくわけだから当然だ。
いつからこうした水平掘りが始まったのだろうか。
コストダウン、効率化は今に始まったわけではなく、水平掘りができたら、という発想は意外に古い。
最初に水平掘りが行われたのは、当然のようにアメリカ・テキサス州だった。
これはまだ一種の傾斜掘り。
つまり途中まで垂直に掘り進み、途中から斜めに掘るというものだったが、パイプの方向をコントロールするのが難しく、あまり行われなくなってしまう。
目だって復活したのは七〇年代後半。
パイプの先端部の技術開発が急速に進み、八〇年代に本格化する。
石油危機という状況がこの流れを加速した。
それでも世界の水平掘りは八六年での実績がようやく百井。
それが約十年後の九五年には、二十倍の約二千井にまで増えた。
石油業界の推定では二〇〇〇年は五千に達するだろうといわれている。
水平掘りは今や石油開発の常識となってきているようだ。
どれだけ効率的なのか。
水平掘りは垂直掘りに比べざっと五倍の生産性の向上があるとされる。
この面だけでいえば夢の技術といってもいいのだが、実は問題があった。
水平掘りは垂直掘りに比べて約二倍のコストがかかってしまう。
最近はさらに技術が向上して、九二年レベルで約一・五倍。
確かにコスト増だが、それでも生産性も高まるわけで、水平掘りは費用対効果コ一から四倍という結果となっている。
この効果が最も話題になったケースはイギリスなどの北海油田。
この油田はイギリスを石炭固から石油輸出国に変貌させた。
心配があったのは、油田の減衰で二十世紀中にはこの問題が表面化するという見方もあった。
ところがこの技術の登場によって油田は延命。
目下のところ、具体的な問題はあまり議論されなくなっている。
北海油田の延命の裏に水平掘りあり、というわけである。
この技術のすごさの具体的な例がある。
水平距離十キロの記録を作ったBPのウィッチファーム油田がそれだ。
ロンドンの南方百五十キロメートルの海岸にある。
一帯は国立公園。
このため当初は人工島を作つての開発が考えられたが、経済的な問題もあって、陸上部からの水平掘りをすることになった。
ちなみには総掘削の長さが一万六百五十八メートルに達した。
すでに石油日産二万バレル、ガス三千二百立方メートルの生産が始まっている。
開発コストは半減し、生産開始も当初計画より三年短縮されたという。
二十一世紀は天然ガスの時代という見方がある。
日本にとって、その最も具体的なケースがロシアのサハリン・プロジェクトになりそうだ。
パイプラインで直接、ロシアから天然ガスを輸入しようという計画が動き始め、実現すれば、大きな影響が出ることが予想される。
エネルギーで日本が外国と直結するという画期的な側面を持つ意味が大きい一方、囲内の基幹パイプライン構想を合わせて視野に入れると、課題も多い。
日本のエネルギー自給率はざっと二割。
八割を海外に依存しているがそれもすべてがタンカーなど船舶に頼っている。
日本はエネルギーの孤島といっていい。
サミットに参加する国で、外国と直接、電気、天然ガスなどのエネルギーで外国と直結していないのは、日本だけだ。
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